毎年6月頃には住民税の税額通知書(地域によって名称は異なります)が届きます。ふるさと納税を活用している方は、正しく税額控除がされているか必ず確認しましょう。わたしは住民税の税額控除が少なくなっていました。原因は所得税の確定申告書における「わたし」の記入ミスでした。
この記事では、確定申告の記入ミスをした「わたし」が、住民税の税額控除額を訂正してもらった経験を踏まえて、修正の手順や注意点を解説します。
この記事の対象者
この記事が役立つのは、以下の4つに当てはまる方です。
- 確定申告(所得税)をした
- ふるさと納税をした
- 住民税の税額控除額が過少
- 確定申告書に「ふるさと納税」に関する記載ミスがある
概要
所得税(国税)の確定申告で内容に誤りがあれば、申告内容を訂正しましょう。納税額が過少なら「修正申告」、納税額が過大なら「更正の請求」になります。ただし所得税額が変わらないと訂正は不要と説明される場合があります。
確定申告を訂正したら、住民税の担当部署に電話相談しましょう。一般的に住民税の税額変更には時間がかかります。住民税の普通徴収(窓口で納付)の納付書が届いている場合、I期分は納入するよう指示されることが多いです。
住民税の訂正・変更が終われば、給料から天引きされる住民税(特別徴収)で調整されます。特別徴収で処理できない端数の処理等で、必要に応じてⅡ期分の普通徴収が行われます。後日届くⅡ期分の納付書に従って納税しましょう。
住民税の訂正・変更は担当者によって対応が異なることがあります。申告内容の簡単な訂正の場合は電話で処理してもらえることもありますが、必ず同じ対応をしてもらえるわけではありません。
なお、手続きをスムーズにするため、以下の書類が手元にあった方が良いです。
- ふるさと納税の受領書(またはその写し)
- 確定申告書の控え
- 住民税の税額通知書(地域によって名称は異なります)
- 住民税の課税明細書(地域によって名称は異なります)
住民税の通知書を確認
一般的なサラリーマンや勤務医なら住民税の決定通知書を職場で受け取ることになります。(地域によって名称は異なります)
どうして職場で受け取るんですか?
一般的に給与所得者の住民税は、給料から天引きする形で職場が納税してます(特別徴収)。
だから職場で通知書を受け取ります。
通知書を受け取ったら記載内容を確認しましょう。
会社に勤めている方だと、住民税の税額通知書(地域によって名称は異なります)は職場で受け取ります。職場で住民税の税額通知書を受け取ったら、ふるさと納税の税額控除の金額が正しいかどうか確認しましょう。
「ふるなび」のサイトでふるさと納税の住民税控除がされているか確認する方法が紹介されていますので、参考にしてください。
わたしは職場で通知書を受け取る前に、郵送で課税明細書を受け取りました。これは、2020年に転職しており特別徴収の手続きをしていなかったためだと思われます。つまり2021年5月分までは給料から天引き(特別徴収)されず、自分で住民税を支払う(普通徴収)必要があるのです。
課税明細書の場合
わたしの受け取った書類では「税額控除額等」の欄に記載されていました。しかしその金額は明らかに小さいものでした。
決定通知書の場合
ちなみに、職場から受け取った住民税の決定通知書がこちらです。税額通知書の「税額控除額」には、上の課税明細書の「調整控除額」と「税額控除額等」が合算された数値が記載されています。
住民税の決定通知書を受け取ったら、税額控除額の金額を確認しましょう。
確定申告書を確認する
ふるさと納税に関して住民税の控除額がおかしいと思ったら、まずは確定申告書を確認しましょう。ふるさと納税の金額が正しく記入できていないかもしれません。
国税庁 確定申告書等作成コーナーを利用して確定申告書を作成した方は、申告書の作成データを読み込んで確認することをお勧めします。
ふるさと納税の寄付金額を確認する
まずは「寄付金控除」の金額が正しいかを確認しましょう。申告書の作成データを読み込んだ方は、ふるさと納税が漏れなく記載できているか確認しましょう。
ふるさと納税の金額自体に記入漏れがあった場合は、所得税額が少なくなります。確定申告に関する「更正の請求」が必要です。詳しくは「確定申告の内容が間違っていた場合」に関する国税庁のサイトを確認してください。
修正申告とは違うんですか?
納税額が足りなかった場合が「修正申告」です。
納税額が多すぎた場合は「更正の請求」になります。
わたしの場合は、ふるさと納税の金額自体はもれなく記載できていました。
住民税・事業税に関する事項を確認する
つぎに確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」を確認しましょう。「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」の欄に、ふるさと納税の合計金額が正しく記載されていれば、確定申告書は問題ありません。
わたしの場合はふるさと納税の金額が「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」ではなく、「共同募金、日赤、その他の寄附」に記載されていました。
ふるさと納税の金額が「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」に記載されていないという記載ミスを発見しました。
どうしてこんなことに?
確定申告書の作成データを確認したところ、原因が分かりました。
詳しく調べるため、国税庁 確定申告書等作成コーナーで、申告書の作成データを読み込んで確認してみました。
すると「ふるさと納税に係る総務大臣の指定の有無」の項目で、「ふるさと納税の対象とならない都道府県又は市区町村への寄附である」チェックボックスにチェックが入っていました。
ビックリするほどの単純ミスです。
穴があったら入りたいです。
税務署に電話相談
所得税(国税)の確定申告書の記載ミスであるため、まずは税務署に相談してみましょう。
わたしも税務署に電話で相談しました。担当の方によると、「(わたしのケースでは)ふるさと納税の金額自体が変わらないのであれば、訂正は不要」とのことでした。また「住民税の担当部署に連絡が必要」とのアドバイスもいただきました。
雑所得に記載するべき謝金を給与所得に記載した時も、修正は不要でした。
所得税額が変わらないなら、確定申告のやり直しは必要ないようです。
合理的ではありますね。
住民税の担当部署に電話相談
つぎに住民税の担当部署に連絡する必要があります。まずは担当部署の電話番号を確認しましょう。
住民税の担当部署の電話番号
住民税の担当部署は、地域によって名称が異なります。わたしの場合、住民税の決定通知書に電話番号が記載されていました。住民税の課税明細書に同封された書類にも同じ番号が記載されていました。
わたしの場合は、住民税の担当部署の電話番号を税務署の方も教えてくれました。
電話で修正してもらえる場合もある
さっそく担当部署に電話連絡してみました。確定申告で、「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」に記入すべき額面を、誤って「共同募金、日赤、その他の寄附」に記載したことを伝えました。
すると、「住民税の計算をやり直して、新しい通知書を送る。」とのこと。手続きのために通知書番号を聞かれましたので、住民税の課税明細書の通知書番号を伝えました。そして、ふるさと納税の金額など口頭で確認して終了でした。
わたしの場合は、これだけで手続きは終了でした。
電話だけで修正してくれるなんて親切ですね!
でも、担当者次第で対応が変わるようです。
注意事項:地域や担当者によって対応が変わる
しかし妻が連絡した際には、初めは違う対応をされました。つまり自治体や担当者によって対応が異なる可能性があります。注意してください。
どうして人によって対応が異なるのでしょうか?
地方自治体の担当者は税の専門家とは限らない
市役所などの場合、役所内での職員さんの異動が多いことが原因の一つです。つまり、税金関係の業務に慣れていない方も配属されているのです。
採用後に全員が税務大学校で年単位の研修を受けている税務署職員さんとは事情が異なります。
所得税(国税)に関わる税務所の職員さんは、全員が税務大学校で研修した専門家なんですよ。
住民税(地方税)の場合は違うんですか?
地方自治体の場合、別の部署から異動したばかりの人もいます。
3月まで保健所勤務とか道路部勤務の人が4月から税金担当になっていることもあるんですよ。
すると、先生に対応した人が間違っている可能性もあるんですね?
まあ、そういうことになりますね。
妻の担当者の対応は? 電話口で修正は応じてもらえないこともある
妻に対応した方の最初の指示は、「ふるさと納税の証明書を窓口に持参する」というものでした。「寄附金の受領書」は確定申告で提出しているため手元にないことを妻が告げると、指示は何度か変化したそうです。
具体的には次のような説明を受けています。
- ふるさと納税の証明書を担当窓口に持参するように
- とりあえず納税して、住民税の還付申告をするように
- やはり、このまま電話口対応で処理する
所得税・住民税の訂正の際に注意すべきこと
所得税・住民税の訂正が必要な場合に、注意すべき点について追加で解説します。
普通徴収の場合、住民税(Ⅰ期分)を納付する
住民税を普通徴収で納付している場合、納付用紙が届いていると思います。住民税の訂正が終わる前に納付すべきなのでしょうか?結論を言うとⅠ期分は納付するのが一般的です。
サラリーマンはみんな特別徴収じゃないんですか?
サラリーマンでもあえて普通徴収を選択している方がいます。
職場に副業がバレるのを避けたいケースです。
また転職すると、初めの1年は基本的に普通徴収になります。
所得税の確定申告を訂正する場合
所得税の確定申告の間違いが原因の場合は、修正申告または更正の請求を先に行うのが、一般的な手続きです。所得税の確定申告の訂正処理それ自体に時間がかかるため、訂正作業はⅠ期の納付期限に間に合いません。
住民税(I期分)はとりあえず納付するケースが多いです。
担当者に確認しましょう。
住民税はどうなるんですか?
所得税額が変化すると、それに応じて住民税は再計算される筈です。
詳しくは担当者に確認しましょう。
所得税の確定申告を訂正しない場合
所得税の確定申告に訂正が必要なくても、住民税の再計算には時間がかかります。
Ⅰ期の納付期限には間に合いません。
すると、住民税(I期分)はとりあえず納付するんですね?
I期分納付するケースが多いです。担当者に確認しましょう。
わたしや妻のケースでは税務署に確定申告の修正申告/更生の請求は不要と言われているため、所得税の確定申告のやり直しという一般的なパターンとは異なります。
こうした確定申告の訂正が不要なケースでもI期分は納付しましょう。
Ⅰ期分の納付を織り込んで、以後の住民税額を調整してもらえます。
住民税の減額・調整処理
住民税の減額は、どうやって処理されるんですか?
住民税を全額収めた後であれば、還付を申告する必要があります。
住民税の還付申告はかなり煩雑な作業です。
難しい手続きは困りますー!
還付申告を回避するため、特別徴収でも普通徴収でも、途中からの納税額変更によって対応してもらえないか確認しましょう。
どういうことです?
普通徴収ならⅡ期分から、特別徴収なら年の途中から税額を減額して調整してもらうんです。
早速確認してみます!
あわてて全期分を一括納税すると、還付申告が必須になってしまうので注意しましょう。
- 住民税はⅡ期以降で減額処理で調整できるか確認する。
- 住民税を全期分一括納付するのは避ける。
- 全期分を納付すると還付申請が必要で、手続きが煩雑になる。
わたしのケースは、やや特殊なケース。
わたしの「所得税の確定申告のやり直しが不要」というケースは、どうやら特殊なケースです。なので万人に参考にはならないかもしれません。
いずれにせよ、担当部署にまずは相談してみることをお勧めします。対応された方が詳しくなさそうなら、税金に詳しい方に代わってもらうという方法もあります。
なお、住民税の決定通知書の修正結果はこの後に報告します。
疑問があったら、担当部署に電話で相談しましょう。
丁寧に対応してもらえます。
まず電話相談ですね。
分かりました!
最終報告:住民税の変更通知書を受け取った
職場で住民税の変更通知書を受け取りましたので、ご報告します。
税額控除額は無事、正しい金額に訂正されています。
なお、6月・7月分は最初の通知書通りに特別徴収されますが8月分の特別徴収からは徴収額が減額されます。最終的な金額はきちんと帳尻が合うように変更されています。
あらめて住民税(普通徴収)Ⅰ期分の納付について確認したところ、そのまま納付するように指示されました。端数処理の関係でⅡ期でも普通徴収で100円の納付が必要になるとのことでした。
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