インド国産空母ついに就役!そのお値段は?

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2022年9月にインド念願の国産空母がついに就役しました。起工から10年以上の年月を経て、ようやく就役した空母の名は「ヴィクラント」です。気になるその性能やお値段も見てみましょう。

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じつは空母運用歴50年以上!

インド海軍は、空母部隊を50年以上運用している実績を誇っています。インド海軍の初代空母は、先代のヴィクラントです。

「イギリスから未成状態の軽空母ハーキュリーズHerculesを購入、イギリスで竣工させて1961年にヴィクラント(初代)として就役」(#3)させ、「1971年のインド・パキスタン戦争では実戦に投入」(#3)もしています。

インド海軍の空母運用経験は侮れないものがあります。

国産空母の建造はインド初

初代ヴィクラント以降も、インド海軍はヴィラートヴィクラマディチャを就役させましたが、いずれも国産空母ではありませんでした。

ヴィラートの前身は英海軍のハーミーズ Hermesで、ヴィクラマディチャの前身はロシアのアドミラル・ゴルシコフ Admiral Gorshkovです。ありていに言えば中古なわけです

主要な軍艦を自国で建造できることは、安全保障上はとても重要です。ですからインドにとって、国産空母の建造は悲願でした。

そして国産空母の建造計画は「プロジェクト71」(#5)と呼ばれ、その艦名はヴィクラント(2代目)が予定されました。(初代ヴィクラントは1997年に退役しています。)

初代空母の栄光が、初代国産空母に受け継がれたわけです。

2009年に起工

インド悲願の国産空母の建造は、10年以上も前に始まっていました。

「インドのコーチン造船所で2005年4月に鋼材切り出し実施、2009年2月に起工」(#4)されたものの、初の国産空母と言うこともあり、かなりの建造はトラブル続きだったようです。

進水までも苦難の道

空母を建造することはインド国内では初の試みです。起工から進水までの道のりは平坦ではありませんでした。

例えば、「予定していたロシア製の鋼材製造が遅れたために国産品へ代替」(#4)、「技術的な問題で推進系のギヤ・ボックス製造が遅れ」(#4)、「ディーゼル発電機の不具合事故」(#4)などで建造は遅れに遅れたようです。

大幅な遅延を生じながらもどうにか2013年に進水し、「インド海軍への引き渡しは2018年末の予定だった」(#4)時期もあったようです。

進水後も苦労は続いた

船と言うものは進水すれば完成ではありません。進水では船体を水に浮かべただけで、完成したわけではないからです。つぎに艤装が必要です。

ヴィクラントでも「吸排気設備や艦内配線・配管、レーダーなどのセンサーや各種武器」(#4)の装備が進められましたが、「艤装品調達の遅延」(#2)により2018年の引き渡しはかないませんでした。

しかし、2022年9月2日にとうとうヴィクラントが就役したというわけです。

ヴィクラントの性能は?

インド悲願の国産空母・ヴィクラントの性能はどの程度なのでしょうか?

満載排水量4万トン

ヴィクラントの満載排水量は40,642トンです。比較的近いのがフランス海軍の原子力空母シャルル・ドゴール(満載排水量:43,182トン(#7))です。

米国の原子力空母(10万トン級)を超大型空母とすれば、中型空母と言えます。

ちなみに中国初の空母「遼寧」(満載排水量:59,439トン(#8))はヴィクラントより一回り大きいいです。

搭載機数は30機程度

標準搭載機は、CTOL機20機*、ヘリコプター10機程度のようです。「30機の戦闘機を搭載できる」(#1)、「搭載機は固定翼機が約30機および回転翼機が約10機の予定」(#4)との記載も見られるので、多少の幅はありそうです。 (*CTOL機:通常の固定翼航空機)

CTOL機の運用方式はSTOBAR方式です。具体的には「艦首部に傾斜14度のスキー・ジャンプ勾配を設け、着艦には拘束索(アレスティング・ワイヤ)3本を配置した斜め飛行甲板が使用され」(#4)ます。

STOBAR方式の空母は、カタパルト技術を持っていなくても建造できます。しかしカタパルトがない分、発艦時の機体速度は低くなり、機体への武器・燃料の搭載量が制限されます

結局は艦載機次第だが・・・?

空母のハード面の能力は、「艦載機の搭載・運用能力」と「艦載機自体の性能」で決まります。

ところが、ヴィクラントの艦載機についてはまだ確定していないようです。2020年の世界の艦船(#2)ではMiG-29KラファルM、国産のテジャスなどが候補として挙げられていました。

Wikipediaには米国のスーパーホーネットも候補として挙がっている(#9)くらいなので、まだインド政府も決めかねているのでしょう。

2022年の「11月をメドに戦闘機を載せた訓練を始め」(#1)とあるので、とりあえずは既存のMgG-29Kで訓練を開始するのかもしれません。

建造コストは約3500億円

ヴィクラント(2代目)の建造コストは「約2000億ルピー」(#1)、日本円にして「約3500億円」(#1)です。海上自衛隊のDDH「かが」の建造費は約1200億円ですから、4万トン級の中型空母と言えども高いですねぇ。

ちなみに米国の最新鋭空母であるジェラルド・R・フォードの建造費は約130億ドルです。1ドル=144円として1兆8千億円以上です。とはいえジェラルド・R・フォードは満載排水量101,605トン、標準搭載機数75機(#6)の化け物です。しかも電磁カタパルト、電磁エレベーター、大出力原子炉など新機軸満載、開発費込みの費用であるため高いのは当然とも言えます。米国の巨大空母でも従来のニミッツ級なら半額程度になります。半額でも約9000億円ですけど・・・

<参考文献>

#1 「インド海軍、初の国産空母」 (日経新聞 2022年9月3日 朝刊)
#2 「インド/空母 『ヴィクラント』 」(世界の艦船 アジアの空母レース 2020-3 No.919 p36-37)
#3 「アジアの『空母』レースを概観する」(岡部 いさく 世界の艦船 アジアの空母レース 2020-3 No.919 p69-75)
#4 「空母『ヴィクラント』(インド)」(多田 智彦 世界の艦船 アジアの空母レース 2020-3 p84-85)
#5 「どうなる!? 日中印3国の『空母』建艦レース」(能勢 伸之 世界の艦船 世界の空母2014、2014.10特大号 No.805 p108-113)
#6 「アメリカ/ジェラルドR.フォード級」(世界の艦船 航空母艦の全て 2021.3, No.943, p22-27)
#7 「フランス/原子力空母『シャルル・ドゴール』」(世界の艦船 世界の空母2014 2014.10特大号, No.805, p38-41)
#8 「中国/空母『遼寧』」(世界の艦船 世界の空母2014 2014.10特大号, No.805, p56-57)
#9 「ヴィクラント (空母・2代)」 (Wikipedia)

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