独断と偏見による新興国投資。 ベトナム① 基本情報編

資産運用
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迷走ドクター
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今回注目するのはベトナムです。

きくたん
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インドネシアと違って、
今回は東南アジアの大陸部ですね?

迷走ドクター
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ベトナムの第一の魅力は、ASEANで最高レベルの経済成長率です。

きくたん
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早く教えてください!

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概要

ベトナムはインドシナ半島の東側に位置します。人口は約9650万人で増加傾向ですが、2040年ごろに人口ボーナス期が終わり、高齢化を迎えていきます。

1990年以降は経済成長を続けており、現在もASEANで最高レベルの経済成長率を誇ります。その背景にはドイモイ政策、チャイナリスク回避による生産拠点移転、中国企業による(米国の)対中関税回避のための生産拠点移転などがあります。

製造業では 縫製、組み立て加工など労働集約型の産業が主力となっています。一次産品としてはインディカ米天然ゴムコーヒー豆などが重要な輸出品です。

2010年代からベトナムの通貨ドンの為替レートは、比較的安定しており、投資しやすい条件の一つと言えます。

地理的には世界各地への水運でのアクセスが良好です。インドシナ半島の3つの経済回廊(道路)と接続しており域内貿易に活用されています。懸念材料としては、①主要河川の水源を他国が支配していること、②地政学的に紛争が絶えない地域(Rimland)にあること、などがあります。

国民性は器用・勤勉で、経済成長を支える要素になっていると思われます。

迷走ドクター
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概要で十分な方は
もしよければベトナム②メリット・デメリット編へどうぞ。

きくたん
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前の記事をまだ読んでいない方は、ぜひ読んでください。

インドネシア①基本情報
インドネシア②メリット・デメリット
インドネシア③株式
インドネシア④国債

になります。

ベトナムの基本情報

迷走ドクター
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ベトナムという国の基本的な情報を確認しましょう。

項目データ備考
人口約9650万人2019年時点
首都ハノイ
名目GDP3300億ドル 2019年時点
GDP成長率7.7%2015-2019年の平均
主要産業サービス業、
鉱工業・建築業、
農林水産、
主要民族キン族
主要言語ベトナム語
主要宗教大乗仏教
通貨ドン
地理大陸部
国民性 器用・勤勉
・カカア天下
出典 #1 サクッとわかるビジネス教養 東南アジア
#4 FACTRIST ベトナム編     

2040年以降は高齢化が予想される

ベトナムの人口は2019年時点で約9650万人で、人口ピラミッドは釣り鐘型から壺型に変化しつつあります。

ベトナムの人口ピラミッド
出典:https://www.populationpyramid.net/

つまり今後は若年層が減少し、2040年ごろに人口ボーナス期が終わり、高齢化を迎えていくことが予想されます。

ベトナムの人口の推移
出典:https://www.populationpyramid.net/

高齢化が進むと予想されるため、年金制度などが社会的な問題になると予想されます。一方で中高年を対象としたビジネスを行う企業にとっては、進出の好機となります。

きくたん
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中高年を対象にしたビジネス ?

迷走ドクター
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例えば医療・介護分野とかですね。

(表に戻る)

GDP成長率はASEANトップクラス

迷走ドクター
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ベトナムは1989年頃からドイモイ政策によって経済成長を続けています。

きくたん
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じゃあ、もう伸びしろが無いんじゃないですか?

迷走ドクター
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いえいえ、そんなことはありません。
ベトナムは2050年まで、5%/年以上の経済成長を続けると予想されています。

ベトナム経済は、1989年頃よりドイモイの成果で経済成長が加速しました。アジア経済危機(1997年)や金融危機(2008年)による悪影響を受けつつも、1990年代及び2000年代は高成長をなし遂げ、2010年に(低位)中所得国となりました。(サクッとわかるビジネス教養 東南アジア)

ベトナムの名目GDPは3300億ドル(2019年)で、一人当たりGDPでは2700ドル程度の下位中所得国にあたります。

ベトナムは今後も長期にわたって高い経済成長率を維持すると予想背れています。例えば プライスウォーターハウスクーパースはベトナムは2050年まで5.1%/年以上の経済成長を続け、世界で20番目の経済規模になると予測しています(#5 Market Overview, Vietnam )

ベトナムのGDP推移
出典:世界経済のネタ帳
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ベトナムも2021年は新型コロナウィルス感染症に苦しんでいます。

2020年は新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の流行もありましたが、ベトナムは感染拡大の抑制に比較的短期間で成功しました。結果的にベトナムはASEAN主要国の中でも唯一2020年も実質GDPで2プラス成長(+2.9%)を達成しています。 しかし2021年になって急激な患者数増大により、短期的には経済的な見通しが難しくなっています。

(表に戻る)

主要産業

きくたん
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ベトナムの産業って何ですか?

迷走ドクター
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製造業が成長分野で、 縫製、組み立て加工など労働集約型の産業が主力です。

中国からの生産拠点移転が進んでいます。

きくたん
きくたん

えーっと・・・日欧米の企業の「チャイナ・プラスワン」の動きですね?

迷走ドクター
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それだけではありません。

アメリカによる対中関税を回避するため中国企業も移転しています。

ベトナムの主要産業は、農林水産業(14.85%)、鉱工業・建築業(33.72%)、サービス業(41.63%)などです(#2)。

製造業の主力は、縫製や組み立て加工

ODAを活用したインフラ整備、低賃金の労働力を背景に、外資の製造業を誘致し、輸出主導型の経済成長を続けてきました(#2)。製造業では、縫製、組み立て加工など労働集約型の産業が主力となっています(#1)。

世界の工場化が進んでいる

ベトナムを中心とする東南アジアは世界の工場としての役割を担いつつあります。東南アジア諸国は中国、インドはもちろん、アメリカ、ヨーロッパへのアクセスが良好です。また最後のフロンティアであるアフリカについても東部へのアクセスは良好です。

ベトナムは世界中とアクセスが良い
ベトナムは貿易の有利な立地(国土地理院地図(https://www.gsi.go.jp/tizu-kutyu.html)を一部改変)
チャイナリスクの回避先

近年意識されるようになった「チャイナリスク」を回避するため、チャイナ・プラス・ワンという考えがあります。つまり中国以外にも生産拠点を分散させることでリスクを軽減するという戦略です。

そのため東南アジアへの生産拠点の移転が進んでおり、その中心がベトナムとなっています。

中国企業も生産拠点を移動

また、米中貿易摩擦の影響で、中国企業もベトナムに生産拠点を移して対米輸出の拠点化を進めています。対中関税を回避するためです。(#1 サクッとわかるビジネス教養 東南アジア )

一次産品には、天然ゴム、コーヒー豆など

ベトナムの一次産品としては、インディカ米や天然ゴムが重要な輸出品となっています。またベトナムは世界第二位のコーヒー豆の産地でもあります。

天然ゴムは、合成ゴムが発達した現代でもゴム消費量の45%程度を占めています。1995年以降は世界的なゴム需要は増大傾向が続いています(#3)。今後も世界的なモータリゼーションの広がりからも天然ゴムの需要は高いレベルが維持されると思います。

(表に戻る)

主要言語

ベトナムの主要言語はベトナム語です。中国文化の影響を受けた漢字起源の言語ですが、現在はローマ字表記を使用しています。

外国語教育については歴史低背景から外国語教育でフランス語やロシア語が重視された時代もありました。しかし、現在は英語教育が盛んです。

とはいえ植民地時代の影響で英語が主要言語になっているインドやフィリピンと比べれば、BPO(Business Process Outsourcing)事業で外貨を獲得するのは難しい国といえます。

(表に戻る)

主要宗教

ベトナムの主要な宗教は大乗仏教です。しかしベトナムではキリスト教、イスラム教などさまざま宗教が受け入れられています。またベトナムの少数民族では、独自の信仰する宗教があったりします。

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通貨

ベトナムの通貨はドンです。ドン安ドル高が進行していますが、2011年2月以降の変化は穏やかで、特に2015年以降はかなり安定しています。。

米ドルとドンのチャート
出典:tradingview.com

同様に円・ドン相場も比較的安定しています。2011年以降では円・ドン相場は変動は-26%~+16%程度です。変動幅は、同時期の円・米ドル(変動が-33%~+10%程度)と大差ないです。

日本円・ドンのチャート
出典:tradingview.com

為替相場の安定感は、ベトナム国債やベトナム株式に投資する際の安心感につながりそうです。

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地理・歴史

迷走ドクター
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次にベトナムの地理的要因を見てみましょう

キーワードは国際河川、経済回廊、南シナ海、リムランドなどです。

きくたん
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国際河川?

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複数の国をまたいで流れる河川です。
河川は水力発電による電源供給、デルタ地帯での稲作など、ベトナムにとっては極めて重要な要素です。

ベトナムは東南アジアの大陸部に存在します。インドシナ半島の東側にあり南シナ海に面しています。ベトナムを流れる主要河川は、首都ハノイをながれるホン川、南部の大都市ホーチミン付近を流れるメコン川です。これらの川は複数の国を流れる国際河川です。

国際河川であるホン川・メコン川

ホン川やメコン川の河口にあるデルタ地帯では稲作が盛んです。そして稲作は大量の水を必要とします。しかし、 ホン川やメコン川 は水源が中国の雲南省やチベット自治州にあり、中国の影響下にあります。実際に、中国のダム開発に伴ってメコン川下流域の水量が減少して、農業や淡水漁業に悪影響がでています(#1)。

ホン川とメコン川
ホン川とメコン川 ( 国土地理院地図(https://www.gsi.go.jp/tizu-kutyu.html)を一部改変 )

経済回廊

きくたん
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経済回廊って何です?

迷走ドクター
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ASEANが整備している陸上交通網です。
インドシナ半島内の域内貿易や生産ネットワークに活用されます。

( #6 新版 地図で見る 東南アジアハンドブック )

インドシナ半島の経済回廊
インドシナ半島の経済回廊 ( 国土地理院地図(https://www.gsi.go.jp/tizu-kutyu.html)を一部改変 )
きくたん
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へーっ、全部タイを通るんですね?

迷走ドクター
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タイ王国は東南アジアでもっとも早く経済発展を遂げた国ですからね。
いずれにせよタイ王国はインドシナ半島諸国の中心的役割を今後も担うでしょう。

インドシナ半島には3つの経済回廊の整備が進んでいます。このうち南北経済回廊については中国の昆明にまで接続しています。また3つの経済回廊すべてがタイ王国を通り、タイ王国で交差しています。つまりインドシナ半島諸国の中心的存在はタイ王国と考えてよいでしょう。最も早く経済発展を遂げたのがタイであることから、自然な流れではあります。しかしタイ王国が自国の地位を強化するために役立っているのは間違いないと思います。

ベトナムは南北に細長い国ですが、北部、中部、南部がそれぞれインドシナ半島の経済回廊に接続しています。経済回廊を利用したインドシナ半島の域内貿易の活性化、生産ネットワークの発展が期待されます。

迷走ドクター
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ベトナムの電力事情にも少しだけ触れておきます。

ベトナムは電力不足で、電力を輸入してます。

きくたん
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どこから輸入するんですか?

迷走ドクター
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ラオスです。

ラオスはメコン川の水力発電で得た電力を周辺国に輸出しています。

また、ベトナムでは経済成長に伴う電力需要の増大に電力供給が追い付いていません不足する電力はラオスから輸入しています(#1)。ラオスはメコン川支流にダムを建設し電力をベトナムやタイなどの国に輸出しています。

南シナ海

南シナ海は世界有数の漁場であり、また原油や天然ガスも豊富にあります。そのため中国やASEAN各国、台湾などの間で領有権問題があります。 ( #6 新版 地図で見る 東南アジアハンドブック )

リムランド(Rimland)

地政学的には、紛争の絶えないRimlandにあるため、どうしても戦場になりやすい地域です。20世紀以降でも第二次世界大戦、インドシナ戦争、ベトナム戦争、中越戦争などの舞台になっています。 (#7 サクッとわかるビジネス教養 地政学)

ベトナムはリムランドにある( 国土地理院地図(https://www.gsi.go.jp/tizu-kutyu.html)を一部改変 )

歴史的には紀元前2世紀から10世紀くらいまで中華帝国の支配下にありました。中国にとっては、歴史的に権利を主張しやすい(彼らの主観では「権利を主張すべき」?)領域とも言えます。こうした心理的背景が新たな紛争の原因にならないことを切に願っています

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国民性

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ベトナム人はの国民性は、4Kであらわされます(#4)。

きくたん
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4K? 4Kテレビでは、ない・・・ですよね?

  • 手先が器用
  • 勤勉
  • 近視眼的
  • カカア天下

勤勉さや器用さなど基本的に経済発展に有利な国民性と言ってよいでしょう。また ベトナムはカカア天下の影響(?)なのか、女性の社会進出が進んでいます今後の労働人口減少を女性の社会進出がある程度緩和してくれるでしょう。

続きはベトナム②へ

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最後までお疲れさまでした。
もしよければベトナム②メリット・デメリット編へどうぞ。

きくたん
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前の記事をまだ読んでいない方は、ぜひ読んでください。

インドネシア①基本情報
インドネシア②メリット・デメリット
インドネシア③株式
インドネシア④国債

になります。

#1 サクッとわかるビジネス教養 東南アジア(助川成也 監修、新星出版社)
#2 ベトナム社会主義共和国 基礎データ (外務省 令和令和3年4月16日)
#3 ゴム取引の基礎知識 (TOCOM Ver.1.2(2018/4/5)
#4 FACTRIST ベトナム編 (KEYENCE https://www.keyence.co.jp/global/special/other/column/vietnam/06/)
#5Market Overview, Vietnam (Country Commercial Guide, International Trade Administration)

#6  新版 地図で見る 東南アジアハンドブック (著:ユーグ・テルトレ、訳:鳥取絹子、地図製作:セシル・マラン/メラニー・マリー、原書房)
#7 サクッとわかるビジネス教養 地政学(監修 奥山真司、新星出版社)

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