先生はアメリカ以外には投資しないんですか?
アメリカ以外にも多少は分散はしてますよ。
新興国債券とかね。
へー・・・
今、注目しているのはどこです?
東南アジアですね。
人件費が安くて教育水準の高い地域ですからね。
東南アジア??
どんな国なんですか?
東南アジアは11ヶ国からなります。
それぞれの国に特徴があります。
11ヶ国⁉
全部把握するのは大変そうですね。
そうですね。
でも「数は力なり」と言います。
まずは人口の多い国に注目すれば良いでしょう。
どの国の人口が多いんですか?
多い順にインドネシア、フィリピン、ベトナムですね。
それでは東南アジア最大の人口を誇るインドネシアについて確認してみましょう。
概要
インドネシアは、約2億7千万人の人口を誇る大国です。人口ピラミッドは釣り鐘型となっていますが、今後10年以上は人口ボーナス期が続くと思われます。GDP成長率は5%以上の高水準を維持していますが、新型コロナウィルス流行により2020年は成長が鈍化しました。
インドネシアの主要産業は、製造業(19.8%)、農林水産業(13.7%)、商業・ホテル・飲食業(13.7%)、鉱業(6.4%)などです。製造業では、エレクトロニクスや自動車製造などの分野が成長しています(#1)。
インドネシアは、世界一イスラム教徒が多い国ですが、イスラム教はインドネシアの国教ではありません。イスラム教は利子をとることを禁じていますが、インドネシア国債は年利6%以上の高利回りです。とはいえ円高ルピア安の進行に注意が必要です。
インドネシアは島国で大小1万3千以上の島からなります。しかしインドネシアの人口や経済はジャワ島への一極集中が目立ちます。一方で、中国、インド、ヨーロッパ、アフリカへの海路でのアクセスが抜群であり貿易では有利な立地にあります。
概要だけで十分な方はインドネシア②へどうぞ。
インドネシアの基本情報
インドネシアってどんな国ですか?
ではインドネシアの基本的な情報をみてみましょう。
項目 | データ | 備考 |
人口 | 約2.66億人 | 2019年時点 |
首都 | ジャカルタ | |
名目GDP | 11200億ドル | 2019年時点 |
GDP成長率 | 5.5% | 2015-2019年の平均 |
主要産業 | 製造、農林水産、サービス業 | |
主要民族 | マレー系 | 少数民族が多い |
主要言語 | インドネシア語 | |
主要宗教 | イスラム教 | |
通貨 | ルピア | |
地理 | 島嶼国 | 13466島ある |
国民性 | のんびり |
世界第四位の人口を誇る大国
インドネシアの人口は2019年時点で2億6000万人以上で、世界第四位の人口を誇っています。人口ピラミッドは釣り鐘型になっています。
今後10年でも10%の人口増加が見込まれています。いわゆる人口ボーナス期がまだまだ続くため、安定した経済成長が期待されます。
また、2億人以上の人口を抱えるため国内の市場規模それ自体が大きいと言えます。したがって将来性は十分あると言えるでしょう。(表に戻る)
日本の2倍以上の人口。それだけで将来性に期待が膨らみます。
GDPは高成長を維持
経済力はどうなんですか?
G20メンバーになるくらいの経済力があります。
しかも成長途上です。
インドネシアの名目GDPは11200億ドル(2019年)で、一人当たりGDPでは4200ドル程度の上位中所得国にあたります。世界での経済的地位は高く、東南アジア諸国のなかで唯一G20メンバーでもあります。インドネシアのGDP成長率は2015年~2019年の平均で約5.5%/年と高い水準を維持しています。
しかし新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の流行もあり2020年の経済成長率はアジア通貨危機以来の低水準にとどまっています。
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主要産業
インドネシアはもともと錫、化石燃料、天然ゴムの輸出が盛んです。
でも近年は製造業が成長しています。
製造業?
とくに自動車とか電気・電子製品です。
インドネシアの主要産業は、製造業(19.8%)、農林水産業(13.7%)、商業・ホテル・飲食業(13.7%)、鉱業(6.4%)などです(#3)。製造業では、エレクトロニクスや自動車製造などの分野が成長しています(#1 サクッとわかるビジネス教養 東南アジア)。
農林水産業では、パーム油、ジャバニカ米、天然ゴム、マグロなどが主要な産品です。パーム油は食用だけでなく、バイオディーゼルや火力発電の燃料にも利用されています。とはいえ、原料となるアブラヤシ畑を確保するための森林伐採、加工・輸送コストなど課題山積のようです(#4)。
天然ゴムは、合成ゴムが発達した現代でもゴム消費量の45%程度を占めています(#5)。1995年以降は世界的なゴム需要は増大傾向が続いています(#5)。今後も世界的なモータリゼーションの広がりからも天然ゴムの需要は高いレベルが維持されると思います。
鉱物資源としては、錫のほか、石炭、原油、天然ガスと言った化石燃料を輸出しています。
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民族
インドネシアの主要民族はジャワ人で、1億人ほどいます。
インドネシアの主要民族はマレー系であり、マレー系の中ではジャワ人が最も多く、1億人程度になります。しかしマレー系以外にも約300の民族がインドネシアを構成しています。多民族国家ではありますが、民族同士の協力が上手くいっている国でもあります(#1)。
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主要言語
インドネシアの主要言語はインドネシア語です。主要民族であるマレー系の言語を押し付けない方針が功を奏し、国内での言語統一を果たしています。
しかし、植民地時代の影響で英語が主要言語になっているインドやフィリピンと比べれば、BPO(Business Process Outsourcing)事業で外貨を獲得するのは難しい国といえます。
BPOって、どんなことですか?
例えば米国内のコールセンター業務とか監視カメラ業務です。
英語が公用語の国だと、業務を受託しやすいでしょ?
だからBPOではインドやフィリピンが有利なんですね。
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主要宗教
インドネシアは、世界で最も多くのイスラム教徒が住む国です。
イスラム教は利子をとることを禁じているんですよ。知ってました?
えー?
じゃあインドネシア国債とか利子はどうするんですか?
イスラム教は国教ではないので、インドネシア国債の利子はもらえます。
しかも高利回りです。
インドネシアの主要な宗教はイスラム教です。
イスラム教は利子をとることや投機的な行為を禁じています。金融業では手数料や事業収益の分配金といった形で収益を上げます(#2)。
イスラム教の盛んな地域は金融業が儲けを出すのが難しいのかと思いきや、日本の金融機関も積極的にイスラム金融に取り組んでいるようです。
イスラム教は利子をとることを禁じていますが、イスラム教はインドネシアの国教ではありません。インドネシア国債も発行され、利子もつきます。しかもインドネシア10年国債の利回りは2016年から2021年7月までのほぼ一貫して6%以上の高い水準を維持しています。高利回りとはいうものの、通貨ルピアの相場にも注意が必要です。
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通貨
インドネシアの通貨ルピアです。
ルピア安には注意が必要です。
インドネシアの通貨はルピアです。ここ10年ほどはドル高ルピア安が進行しています。
同様に円高ルピア安も進行しています。
先ほど述べたように、インドネシア国債(10年物)はかなりの高利回りですが、ルピア安の進行を十分に考慮する必要はあります。
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地理
インドネシアは島国ですが、ジャワ島に人口と経済の一極集中が目立ちます。
地震が多く火山活動も盛んです。
なんだか日本に似てますね。
インドネシアは東南アジアの島嶼部に存在します。大小合わせて13000以上の島々からなります。あまりにも島が多いため、電力供給が難しいといった問題も抱えています(#1)。とはいえ電力供給はおおむね安定しており、他の東南アジア諸国に比べて停電の頻度は圧倒的に低いです(#6)。
インドネシアの首都はジャカルタです。ジャカルタはジャワ島にあり、インドネシア人口の過半数はジャワ島に集中しています(#1 サクッとわかるビジネス教養 東南アジア )。ジャワ島の面積は約126700k㎡なので、関東平野の4割弱しかありません。日本以上の極端な一極集中となっています。
インドネシアは、貿易においては良い立地に恵まれています。巨大市場である中国、インドに近接していて、スエズ運河を介してヨーロッパへのアクセスも悪くありません。最後のフロンティアであるアフリカへのアクセスも良好です
インドネシアは火山活動が盛んで、地震が多い国です。2004年のスマトラ島沖大地震、2006年のジャワ島中部地震、2009年のスマトラ島沖地震など地震には常に悩まされています(#1)。
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国民性
インドネシアの国民性はのんびりしているのが特徴です(#1)。
続きはインドネシア②へ
概要だけで十分な方はインドネシア②メリット・デメリットへどうぞ。
(この記事は2021年8月に作成したものです。)
参考文献
#1 サクッとわかるビジネス教養 東南アジア(助川成也 監修、新星出版社)
#2 急拡大するイスラム金融の実像と日本の課題(前田 匡史 国際協力銀行)
#3 インドネシア基礎データ (外務省 令和3年5月20日)
#4 見解:バイオマス発電は「カーボン・ニュートラル(炭素中立)」ではない(国際環境NGO FoE Japan, 地球・人間環境フォーラム, 熱帯林行動ネットワーク(JATAN), バイオマス産業社会ネットワーク 2020年11月11)
#5 ゴム取引の基礎知識 (TOCOM Ver.1.2(2018/4/5)
# 6 世界の製造業「インドネシアの今」(https://keikakuhiroba-mfi.com/archives/13473#i-3)
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