医師の転職。転職の7つのステップ

就職と転職
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医師が転職を考える場合、知人に紹介してもらう、自分で求人に応募する、仲介業者に依頼するという3つの方法があります。ここでは医師転職仲介業者に依頼する場合を想定して、転職の大まかな流れをご紹介します。

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転職する際の7つのステップ

転職仲介業者に仲介を依頼する場合には、入職まで7つの段階があります。

  1. 仲介業者に登録
  2. エージェントの聞取り調査
  3. 求人案件の紹介
  4. 応募・条件交渉
  5. 面接
  6. 内定
  7. 入職

それぞれが完全に独立しているわけではなく、ある程度は同時進行していきます。具体的には、「聞き取り調査」と並行して「求人案件の紹介」の紹介が行われることが普通です。また、ある医療機関について「条件交渉」や「面接」を行う間も、別の医療機関について「求人案件の紹介」や「条件交渉」は行われます。

それでは、それぞれについて簡単に説明しましょう。

仲介業者に登録する

仲介業者に登録する場合、近年ではWebで求職者として登録することが一般的です。登録するルートとしては以下の2つのルートがあります。

  • 仲介業者各社のサイトから個別に登録
  • 一括サービスで一括登録

個別に登録

民間医局、MRT、エムスリーなどのサイトで個別に登録する方法です。仲介を依頼する業者1~3社程度に決めているのであれば、個別に登録するのが良いでしょう。無駄に個人情報をばらまく事を回避できます。

沢山の仲介業者とコンタクトしてみたい場合、一社ずつ登録するのは少し面倒な作業になります。そうした場合は、一括登録を利用するほうが簡単です。

一括登録

たとえば日経メディカルの転職仲介サイトなどでは、複数の仲介業者に一括登録することが可能です。日経メディカルの場合、登録する仲介業者を選択することが可能です。ですから、自分が接触したい仲介業者以外にも無駄に登録される心配はありません。

しかし、多数の仲介業者すべてに登録しても、そのすべてを活用することは困難です。電話やメールが押し寄せて、誰と何を話したのか進捗状況を把握することが難しくなるからです。またエージェントとの連絡や面談のスケジュール管理も煩雑になります。

最終的には仲介業者は1-3社程度に絞ることになると思います。個人的には、「エージェント個人の相性」で選別しました。つまり、「話しやすい」とか「仕事が早い」とか「ミスが少ない」と言った点で選びました。

連絡時間帯や方法は指定できる

求職者として登録する際、要望欄などに連絡を希望する日時や方法を指定することはできます。当面はメールでのみ対応したい。勤務中の電話連絡は避けてほしい。など希望があれば明記しておきましょう。

エージェントの聞取り調査

仲介業者に求職中として登録すると、おそくとも翌営業日には何かしらの連絡があります。求職者に関する情報収集のためです。

聞き取り調査の内容

聞き取り調査でエージェントが確認する事柄は以下のようなものです。

  • 転職したい理由
  • 転職する時期
  • 所持している資格
  • 簡単な経歴
  • 希望する年収
  • 希望する勤務条件
  • 希望する職務内容
  • 希望の通勤距離・手段
  • 希望条件の優先順位

このうち幾つかについては簡単に説明します。

希望する勤務条件

勤務時間、勤務日数、当直の可否などのことです。時短勤務や週4勤務などの変則勤務を希望している場合は、その理由も確認されます。

希望する職務内容

ここでいう職務内容に関連した質問は以下のようなものです。

  • 病院、クリニック、老健など施設の種類
  • 救急指定、急性期・回復期・療養、外来、検査、手術、在宅医療など仕事内容。

希望の通勤距離・手段

どのエリアの求人案件を希望するのか伝えるために必要な情報です。大雑把な自宅位置とか通勤距離・時間などを伝えましょう。転職先の近くに引っ越し可能かも確認されます。

希望条件の優先順位

「希望したい条件」の中での優先順位も確認されます。あらかじめ意識しておきましょう。少なくとも以下の2種類には分類しておきましょう。

  • 絶対に叶えたい条件
  • 出来れば叶えたい条件

聞き取り調査の手段

連絡の取り方には、大体3つのパターンがあります。

  • いきなり直接電話
  • メールで予告・調整してから電話
  • 初期はメールでの連絡のみ

いきなり直接電話

一つ目のパターンは、いきなり直接電話です。早ければ登録した当日に電話が掛かってきます。知らない番号からいきなり着信があるのでビックリします。しかし、別に絶対に出る必要はありません。電話に出なければメールしてくるはずです。

突然の電話連絡が好きでないなら、メールでアポイントを取るように予め要望欄などに書いておくと良いでしょう。

個人的な経験で言うと、この手のエージェントはグイグイ来ます。あれよあれよと言う間に直接面談に持ち込んできます。

エージェントの勢いに任せてしまう方が、結果的に楽な場合もあります。しかし、じっくり転職先を探したい場合には煩わしく感じるかもしれません。

ゆっくり求職したいなら、初期はメールでのみ対応するなどして自分のペースを維持しましょう。

メールで予告・調整してから電話

まず、電話連絡のアポイントメントをとってくるパターンもあります。連絡してくる電話番号をメールで伝えるとともに、日時の調整をしてくれるタイプです。

いきなり電話してくるエージェントよりは、多少は押しが弱い印象ですが、隙を見て面談を入れたそうな雰囲気はビンビンに出ています。

初期はメールでの連絡のみ

初期の情報収集や求人紹介はメールのみのパターンもあります。初動をゆっくり入りたい人には向いているパターンです。とはいえ最終的にはエージェントと電話および面談になります。

わたしの場合、電話組の手練手管に押されて、早々に面談を予定しました。ですから、メールのみのグループには、お断りを入れました。

電話でも海千山千のエージェントに負けないメンタルの方は、どんどん電話で連絡を取って構わないと思います。でも、交渉が苦手な人、自分のペースを乱されたくない人は、初めはメールのみで連絡を取るほうが良いかもしれません。

求人案件の紹介

求人案件の紹介は、聞き取り調査、メールのやり取り、エージェントとの面談など中で行われます。新しい情報が入るとどんどんメールが送られてきます。

その中で、エージェントとの面談はどうしても必要になります。エージェントも、見たこともない医師を医療機関に紹介することは出来ないからです。

エージェントとの面談を行う場所や、「仲介会社の社屋」や「自宅近くの喫茶店」などが一般的です。新型コロナウィルス感染症の流行により、ZOOMなどでのオンライン面談を導入する会社もあります。

直接の面談の際には履歴書、医師免許証、専門医の認定証などの写しの提出を求められる場合があります。すでにオンラインで提出済みの場合は、改めて提出する必要はありません。

面談では最初に転職の動機、希望する勤務条件など再度で確認する作業などを行います。そのうえで、求人案件を紹介されます。

この時に紹介される案件は、こちらの希望に近い求人案件をエージェントが見繕ったものが中心となります。興味を持った案件については、詳しい情報を確認し、条件交渉を始めることになります。

応募・条件交渉

紹介を受けた求人案件も、最初は以下のような大雑把な情報しかありません。

項目条件
給与~1800
勤務日数4~5/週
当直応相談
内容外来・病棟管理など

条件交渉では、変則勤務の可否、当直の日数、給与、時間外手当の有無、などについて確認・交渉していきます。とはいえ、エージェントは挟んだ伝言ゲームでは、なかなか細部まで詰めることができません。

ある程度は納得できる条件であれば、詳細は医療機関との面接で確認したほうが良いでしょう。

面接

採用面接

病院側は、院長、副院長、事務長、採用担当者などから3名ほどが参加されます。こちらは本人とエージェント1名で臨みます。

採用の可否を決める場であり、詳細な仕事内容などを確認する場でもあります。この段階で外来コマ数が非常に多いことが判明する、など想定と異なっていることもあります。条件を確認しましょう。

あまりに細かい条件を出しすぎると不採用となるリスクが上がります。しかし絶対に譲れない条件についてはしっかりと言質をとりましょう。曖昧にしておくとトラブルの元になるでしょう。

面接の場で質問されることは様々ですが、ある程度傾向はあります。あらかじめ答えを考えておきましょう。

採用面接は、たいてい2-3日で結果が出ます。内定が出た場合は、概ね1週間以内に入職するかどうかの意思表示を求められます。いくつかの医療機関を天秤にかけたい場合、短期間に面接をこなす必要があります。

あらかじめ、すこし返答を待ってもらえるか面接の場で確認しておくのも一つの方法です。

とりあえず見学

いきなり採用面接は腰が引ける。現場の雰囲気などもっと情報を集めたい。といった方もいるでしょう。

それならば、いきなり採用面接に挑むのではなく、病院を見学する、という方法もあります。実際の雰囲気を把握すると同時に、こちらの顔と名前を覚えてもらう訳です。じっくりと転職先を選びたい方は、こういった方法を選んでも良いでしょう。

話を早くまとめたいエージェントには喜ばれないかもしれませんが、自分の人生なのでじっくり検討するのも良いと思います。

内定

採用面接が終了すれば、ほどなく結果が通知されます。首尾よく内定を頂いた場合、早期に返答が求められます。とはいえ、提示された条件で不明瞭な点があれば、詳細を確認することも重要です。

エージェントを通じて確認・交渉し、書面で条件を確認しましょう。口約束はトラブルのもとになります。

入職の意思表示と各種手続き

納得いく条件であれば、入職の意思を先方に伝えましょう。そして雇用契約等の各種手続きを済ませます。

退職の意思表示

現職の職場に対しては、適切な時期に退職の意思表示をしましょう。退職を申し出る時期については就業規則で確認しましょう。

比較的穏便な手順は以下のようになります。

  1. 退職願を提出する。
  2. 退職願が承認される。
  3. 退職届を提出する。

退職願は、「退職したいです。」とお伺いを立てる文書です。これに対して退職届は「退職します」という意思表示をする文書です。

就業規則にどうあろうと、法的には2週間前の意思表示でも良いです。しかし、狭い業界なので最低限のマナーとしてある程度の時間的余裕をもって申し出るようにしましょう。

また、退職を申し出る以上は、不退転の決意で臨みましょう。退職の意思を曖昧にしないため、退職時期を具体的に明示しましょう。

医局を離れる場合、6カ月前には退職の意思を明示するほうが良いでしょう。わたしは1年前から退局を打診し、6カ月前に退局の意思を明確に伝えました。その過程で医局長や教授と面談を何度か行っています。

その中では、シフトの改善などによる引き留め、ポジション斡旋などもありました。しかし、最終的な結論として、医局人事を離れることを面談の場で教授に伝えました。

入職までにやること

入職までにやることをいくつが紹介します。

業務の引継ぎ

新天地へ入職するまで間は、現職で勤務を続けることが一般的です。現職での人間関係が変化してしまう場合も多々あります。居心地が悪くなることもありますが、少しの辛抱です。粛々と業務の引継ぎを進めていきましょう。

院内文書や個人情報の記載された文書などを処分する作業を行いましょう。

有給の消化

可能なら有休を消化したいところです。しかし、業務の特殊性から有給取得が難しいことも少なくありません。

未消化の有給休暇について買い取り制度がある職場もあります。有給買い取り制度が明記されている場合は未消化を有休を買い取ってもらうことができます。買い取り制度が明記されていない場合は、買い取ってもらうことは出来ません。

退職時の有給休暇消化は、雇用者側が拒むことは出来ません。とはいえ今後の付き合いなども勘案しながら、冷静に判断するようにしましょう。

わたし自身は、有給をすべて消化できたことはありません。

iDeCoの手続き

iDeCoに加入している場合、転職によって手続きが必要になります。転職先によって、iDeCoを継続する場合、iDeCoから企業型DCに変換する場合、など様々です。

証券会社などに必要な手続きについて確認しておきましょう。必要な証明書を転職先から発行してもらえるように根回ししましょう。

健康保険の準備

転職先での健康保険を取得する準備もしましょう。扶養家族がいる方はご家族全員のマイナンバーが必要です。また扶養家族であることを示すために世帯の住民票収入証明を提出する必要があります。

転職先の担当者の指示に従って、入職前に必要な資料や情報を揃えましょう。

入職後

入職後は、新天地での仕事を楽しみましょう。良好な人間関係の構築に努めましょう。そのほか注意すべき事柄をいくつか紹介します。

健康保険について

新しい健康保険証が届くには1-3週間はかかります。4月入職の場合はさらに時間がかかることもあります。すぐに医療機関を受診する必要がありそうなら、健康保険資格証明書を発行できないか新天地で確認しましょう。

通勤経路について

入職時に通勤経路を届け出ますが、後日、経路を変更したくなることがあります。必要に応じて通勤経路の変更を届け出ましょう。きちんと変更していないと通勤中の事故等に対して労災が下りません

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