医師の転職。条件は細部まで確認するべし。実体験から紹介する「7つの落とし穴」

就職と転職
スポンサーリンク

医師が医局人事以外で転職することはそう多くはありません。どうしても不慣れなために失敗するケースがあります。とくに希望条件と実際の食い違いは起こりがちです。ですから仕事内容などの疑問はなるべく解消しておきましょう。希望的観測は絶対ダメです。疑問が湧いたら必ず確認しましょう。

ワークライフバランス重視の転職を考えている先生方に、注意すべき「落とし穴」について私の実体験を踏まえて解説します。

スポンサーリンク

「原則として当直無し」の落とし穴

ワークライフバランス重視の転職では、当直の有無や割り振り方は非常に重要です。とくに年末年始やゴールデンウィークの当直の割り振りは確認を忘れがちです。原則として当直無し」の場合でも、年末年始やゴールデンウィークは日当直を割り振る病院もあります。

どうしても、年末年始やゴールデンウィークに「まとまった連休」が欲しい先生は、あらかじめ「当直一切なし」と確認しておく必要があります。

「毎週〇曜日当直」の落とし穴

小規模なリハビリ病院などでは、当直を曜日で割り振っているケースも多いです。つまり月曜日はA先生、火曜日はB先生といった具合です。そこで問題になるのは祝祭日(国民の休日)の日直です。

例えば月曜日が祝祭日の場合、A先生は当直なのか、日当直なのか?こういったことを明確にしておきましょう。祝祭日は日当直の場合、月曜担当は1年を通じて3連休がほぼ無くなります。

日直(休日出勤)がある場合、それに対して割増賃金が支払われるのか、代休を与えられるのかも確認しましょう。

「週4日勤務OK」の落とし穴、その1

「週4日勤務OK」にも落とし穴があります。勤務日が祝祭日でも出勤を求められる場合があるのです。

例えば休日が水曜・土曜・日曜(つまり勤務日が月・火・木・金)だとします。すると月曜日が祝祭日だったとしても、出勤する必要がある訳です。それでは、下手をすると、ゴールデンウィークや年末年始は殆ど出勤日となりかねません。

さすがにこのレベルの話は、病院側から説明・確認される筈です。しかし、必要ならこちらから動いて、確実に詳しい条件・ルールを詰めておきましょう

面接に入る以前の、条件交渉の時点で確認しておいて損はありません。

おすすめの対策

勤務日が祝祭日でも出勤を求められる場合の対策について紹介しましょう。それは、「祝祭日に出勤する代わりに、もともとの休日に出勤する」という条件を明記してもらうことです。

具体的に、水・土・日曜休みの週4日勤務の場合で説明します。たとえば月曜日が祝祭日だった場合、月曜日は出勤せずに代わりに水曜日に出勤するというルールにしてもらうのです。

この場合、水曜日はもともとデューティーがありません。有給を使うは極めて簡単です。

病院からの(お勧めできない)代案

上記の提案をしても、「有休を消化することで、祝祭日を休むことは出来るので問題ない」と病院側から説明されるかもしれません。たしかにルールとしては実にシンプルです。

しかし、この提案には重大な欠点があります。それは、自分が休む代わりに、他の先生が休日出勤せざるを得ないことです。他人に休日出勤をお願いするのは大変に難しいことであり、滅多に出来ることではありません。

この方法は、提案されても承諾しないほうが良いです。

その点、上述の「水曜日(自分にとっての休日)に出勤するルール」にしておけば、祝祭日の休日出勤は最初から別の先生の仕事という扱いになります。わざわざ他の先生に休日出勤をお願いする必要がなくなります。

「週4日勤務OK」の落とし穴、その2

週4日勤務であれば、こなせる仕事の絶対量が普通は減ります。ですから担当する入院患者の数もある程度は調整してもらえるとありがたいのが、求職者側の本音です。

しかし実際には週4日勤務でも週5日勤務でも担当する入院患者の数が同じことが多々あります。ワークライフバランス重視で転職するのであれば、想定される担当患者数は確認しておくべきです。

例えば、回復期リハビリテーションに関しては、週5日勤務でも担当患者数が25人を超えると、一人一人をしっかり診ることが難しくなってきます。まして週4日なら・・・という訳です。

「日直(休日出勤)は代休が取れます」の落とし穴

ゆったり勤務の病院であったとしても、週末の日当直を病院の常勤医師で分担している場合はあります。すると、日曜日(場合によっては土曜日も)の日直は休日出勤扱いになることが多いです。その場合、病院は代休を与える形で対応するか、割増賃金を支払う必要があります。

問題は、代休を与えられるケースです。

自分の勤務スケジュールにデューティー・フリーの日がなければ代休をとること自体が困難です。わたしの場合、新型コロナウィルス感染症関連での業務が増えた結果、ワクチン接種当番や発熱外来などの業務が増えた結果、デューティー・フリーの日が無くなってしまいました。

それでなくてもデューティー・フリーの日には、落ち着いて実施したい手技や、家族との面談を予定しがちです。外来日などより、予定が狂うリスクが低いからです。結果的に、代休とるのも一苦労となります。

強引にデューティーのある日に休むことも不可能ではないです。その場合、誰かに代役を頼む必要があります。例えば外来に代診を立てるのは困難です。かといって外来を何度も休診とするのも、かなり難しいのが現実です。

結果的に「未消化の代休が貯まるばかり」となりかねません。代休が未消化だと、実質的にタダ働きになってしまいます。

(注: 代休ではなく振替休日で対応する病院もあり得ます。代休と振替休日は厳密には異なります。しかし、ここでの主旨としては、代休も振替休日も大差ありません。)

(注: 「毎週1日」または「4週間を通じて4日以上」の休日を与えられている場合、代休が与えられなくても違法ではありません。代休を与えない場合、病院は「休日出勤分の割増賃金」を支払う必要があります。 )

「残業ほとんどなし」の落とし穴

子育てのため、5時に定時で上がれる仕事を探しているケースでは、午後外来が落とし穴になりやすいです。面接では、5時で上がってよいと言われていたとしても、現実には5時受付の患者の診察を求められてトラブルになるケースがあります。

4時半受付までなどと、余裕を持たせても十分ではありません。4時半に至急採血が必要な急患がくることはあります。

こどもの送迎の関係などで絶対に5時の定時あがりが必須なら時短勤務にするか、午後外来は絶対不可などと希望条件を明示しておくことをお勧めします。

それでも入院患者の急変はあり得ます。絶対に残業できないなら、主治医として入院患者を担当することは避けるほうが良いです。

「療養病棟に関する認識不足」という落とし穴

療養病棟は、急性期・回復期を経て「慢性期」の患者が長期療養を行う病棟というイメージをわたしは持っていました。そのイメージは概ね正しいのです。

しかし実際には、療養病棟の一部では「緊急患者の受け入れ」なども行っています。このことを私は知りませんでした。

つまり実際には、関連施設からの緊急入院が少なくない職場だったのです。結果的に、想定していたよりも強いストレスを感じる羽目になりました。

急性期病院での勤務経験しかないと、療養病棟や地域包括ケア病棟の実態について理解が十分でないことがあります。注意しておきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました