わたしは、金融資産の大半を米国に投資しています。とくに米国の債券にはドルベースでの運用資産の40~45%を振り分けています。債券は主にバンガード・トータル債券市場ETF(BND)、MMF、iシェアーズ米国債20年超ETF(TLT)などの形で運用しています。
ところが、2022年からは米国の政策金利の急上昇を受けて米国債の価格は下落を続けています。米国債のETFであるTLTも当然下落してます。現在の含み損は$8000を超えています。
それでも私は、引き続きTLTを買い続けています。そのワケをお話しします。
わたしのTLT運用成績
わたしのTLT運用成績を見てみましょう。まずはTLT価格の推移をご確認ください。
TLT価格は右肩下がり
まずTLT価格を確認してみましょう。ご覧のように見事な右肩下がりです。
TLTの含み損、$8000超え!
この記事を執筆している時点でのTLTの運用成績は以下の通りです。$8000以上の含み損が出ています。
口数 | 取得単価 | 評価損益 |
506 | 118.21 | ▲$8227 |
これは酷い・・・・
円換算だと多少マシですがそれでも35万円程マイナスです。
トホホ
TLT価格が下落する原因
基本的なことですが、TLT価格が下落した原因を確認しましょう。
TLT価格は政策金利と逆相関
TLTは米国の長期国債に特化したETFです。基本的には米国債の価格に連動します。そして米国債の価格は政策金利と逆相関します。
そして2022年9月時点では、米国の政策金利が絶賛急上昇中です。
つまり、金利上昇でTLT価格は下落するわけですね。
そうです。
金利は引き上げはインフレ対策
米国内で進行している急激なインフレを抑え込むためです。
インフレの原因は、おもに以下の3つです。
- コロナショック時の大規模な金融緩和政策
- 新型コロナに関連した生産・流通網の混乱
- ウクライナ情勢による化石燃料や食物の価格高騰
ウクライナ情勢なんかすぐ解決しそうもないですね。
TLT価格は下がる一方では?
いや、少しは希望の光が見えます!
金利が下がりさえすれば・・・
金利が下がればTLT価格は反転する
TLT価格は金利上昇で下落します。逆に言うとTLT価格は政策金利が下がれば上昇します。ですから今後の米国の政策金利が重要です!
今後の米国金利の見通し
それでは、今後の米国の政策金利について確認してみましょう。
9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)の示したシナリオでは、政策金利は23年末にに4.6%台まで引き上げられ、23年末までその水準が維持されます。そして24年末に3.9%となります。(#1)
当面は金利上昇が続きますね。
こりゃマズイですね。
ソウ・・・デスネ。
イチオウ底値ヲ予測シテミマショウ。
先生が壊れた!?
TLT価格の底値は?
TLT価格の底値を予測するために、TLT価格と米国金利の関係をチャートで確認しましょう。実際にはTLTと米国2年債利回りで比較します。
米国2年債利回りと比較するワケ
米国2年債利回りは米国の政策金利と強く相関します。政策金利が安定していれば米国2年債利回りは政策金利とほぼ一致します。
つまり、政策金利のピークが4.6%程度になるのであれば、2年債利回りも4.6%前後になる可能性が高いです。
ただし現在のような政策金利の上昇局面では、金利の先高観を反映して米国2年債利回りが先行して上昇しがちなので注意が必要です。
あと、https://jp.tradingview.com/ではFederal funds target rangeが長期で表示できなかったからでもあります。
TLT価格は$80もありえる?
下のチャートはTLTの価格と米国2年債利回りを示しています。
赤線は利回り4.6%のラインです。2年債利回りが4.6%前後だった期間は2007年頃にあったことが分かります。その頃のTLT価格は$80~$90程度です。
つまりTLT価格は$80~90程度まで下落する可能性があります。
先生の今のTLT取得単価はいくつでしたっけ?
$118.21です。
30%以上の下落の可能性がありますよ!
大丈夫ですか?
わたしには宇宙最強のセリフがあります!
「それがどうした!」
それでもTLTに期待するワケ
とはいえ、わたしは相変わらずTLTの購入は続けています。理由は3つあります
- 債券の割合が40%を切っている
- 長期金利は将来の利下げも織り込む
- 米実質金利が上昇
債券の割合が40%を切っている
わたしは金融資産のうち40~45%を米国の債券で運用することにしています。債券にはおもにBND、MMF、TNTなどの形で投資しています。
しかし2021年までのコロナバブルの影響で、株価が急上昇し、結果的に債券比率がかなり低下してしまっていました。2022年に入り、定期の増額分を債権に回すことで債権比率を高めるように努めています。
直近では株価の急落もあり、債権比率はもう少しで40%と言うところまで来ました。しかし、今後は景気後退が予想されますので、債権比率は45%まで上げる予定です。まだ債券購入が必要です。
そしてTLT価格は過去10年では最低レベルにまで下がっています。TLT価格はまだ下がる可能性もありますが、長期的な運用を考えるならば、十分に魅力的な価格帯になっていると言えるでしょう。
ただし、ドルベースで考えるならば…ですね。
以前から、ドル転した資産は円転しない方針です。
将来は配当だけ円転します。
長期金利は将来の利下げも織り込む
TLTは米国の20年超長期国債に特化したETFです。長期国債の利回りでは2023年末以降の利下げもある程度織り込まれます。そのため「10年債利回りは4%の手前で頭打ちになる展開も考えられる」(#1)という予測には現実味があります。
2022/9/26時点で10年債利回りが3.8%近辺であることを考えると、TLTもそろそろ下げ止まるかもしれません。
米実質金利が上昇
米国では金利上昇により10年債の実質金利が23日時点で1.3%まで上昇しています。これは米国の「中立的な実質金利」である0.5%を大きく超える水準です。その影響で、株式、REIT、金いずれも下落してます。(#2)
株式、REIT、金から流出した資金は、国債に流入していると思われます。ですから「米国の長期国債は価格が下げ止まる可能性が出てきた」とわたしは考えています。TLT価格は長期国債価格と相関が強いため、そろそろ下げ止まるかもしれません。
まだ下げ止まった訳ではないですよね?
まあ、そうですね。
でも、わたしは逆張りが大好きですから。
現状はバーゲンセールだと解釈します。
この記事は、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資はあくまでも自己責任でお願いします。
#1 「市場、消えぬ『FRBとの溝』(大塚節夫, 日経新聞, 2022/9/23朝刊)
#2 「米実質金利上げ、余波拡大」(日経新聞, 2022/9/27朝刊)
コメント
はじめましてドク。同士を見つけた思いです。米債券投資家鮫ヶ出です。
今年は暴落の年でしたね。しかし、いよいよ時が来たとみています。
FFターミナル金利は米国が壊れる手前で停止。甘めで4.5%、キツめで6%ではないでしょうか。TLTは甘めでは底打ち済み。キツめで$86近辺で底打ちかと思います。
来月12月からTLTを買いはじめます。但し、ドル円の為替が不穏な動きなので、
USD/JPYが130円超である間は、東証版のTLTである2621 iShears 米国債20年超 H有です。
ドクも来月いかがでしょうか。
はじめまして鮫ヶ出さん。
コメントありがとうございます。
ご指摘のように米国の政策金利のピークは、市場予想では5%前後のようですね。
10月のCPIは市場予想を下回りましたが、今後の指標次第ではまだまだ利上げは続くかもしれません。
IT業界の人員削減、半導体業界の設備投資減少、銅価格の下落傾向など一部で景気減速の気配はあるので、
その点からも利上げのピークも近いとは思いますが・・正確なピークを予測するのは難しいですね。
じつは私は今でも少額ではありますがTLTを毎週買っています。
鮫ヶ出さんのように底値やトレンドを見極めて機動的に運用する力がないので、
基本的には、盲目的に積み立ているのです。
買い付けるのがMMFかTLTかBNDかだけ選んでいる程度の素人なんです。
あいや、こちらもまあ素人。
FX銀座を追い出され、株式街からも引っ越して、債券村に移り住んだ者です。
債券も長期債ETFなら結構増えますから。(今年みたいに減りもしますけど。)
来年あたりに今が谷底だったと思い返す事が出来れば良いですね。
また報告ブログお願いします。