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フィリピンは7000以上の島からなる島嶼国で、一億人以上の人口を誇ります。平均年齢は24歳と若く、2062年まで人口ボーナス期が続きます。
経済規模は東南アジアでインドネシア、タイに次いで3番目に大きいです。経済成長率は2015年~2019年まで平均7.3%/年と高い成長率を維持していましたが、コロナ禍で2020年には過去最悪の低成長を経験しました。
国民の約7割が英語を話せるため、英語力を生かしたサービス業やBPO事業が盛んです。主要な輸出品は半導体です。EV生産による需要の増加を見越して、銅産業への投資が増加しています。
インフラ面では慢性的な電力不足に悩まされている他、道路や鉄道の整備は遅れ気味です。しかし近年フィリピン政府はインフラ整備を積極的に行っています。
国民性は大らかで素直なのが特徴です。企業側からみれば、その分だけ細かい指示やマネジメントが必要です。
概要だけで満足された方はお疲れさまでした。
次の記事(フィリピン② メリット・デメリット)にご期待ください。
興味のある方は本文もどうぞ。
他の国も取り上げていますので興味のある方はどうぞ。
インドネシア 基本情報編
ベトナム 基本情報編
マレーシア 基本情報編
フィリピンの基本情報
まずはフィリピンの基本情報を確認しましょう。
項目 | データ | 備考 |
人口 | 約1億730万人 | 2019年時点 |
首都 | マニラ | |
名目GDP | 3770億ドル | 2019年時点 |
GDP成長率 | 7.3% | 2015-2019年の平均 |
主要産業 | BPO等のサービス業 鉱工業 農林水産業 | |
主要民族 | マレー系 | |
主要言語 | タガログ語、英語 | |
主要宗教 | キリスト教 (カトリック) | |
通貨 | ペソ | |
地理 | 島嶼部 | |
国民性 | おおらか |
人口ボーナス期は当面続く
フィリピンの人口ピラミッドは釣り鐘型になりつつあります。
まだまだ若い世代が多いです。
人口はどれくらいですか?
2019年時点で約1億人です。
今後は1億5千万人を超えると予想されています。
ASEANで二番目の人口を誇る
フィリピンの人口ピラミッドは、ピラミッド型から釣り鐘型に移行しつつあります。平均年齢は約28歳と非常に若い国です。2020年の人口は約1億人で、ASEAN域内ではインドネシア(約2億7千万人)に次ぐ人口を誇ります。
そして今後も人口は増加し、最終的にはフィリピンの人口は1億5千万人余りになると予想されます。人口がピークに達するのは2075年頃です。つまりフィリピンの人口ボーナス期は当面は続きます。
人口ボーマス期の終了は東南アジアでも最も遅いと予想されています。
人口ボーナス期の終了が東南アジアで最も遅い
東南アジア諸国の人口ボーナス期を終了年を確認してみましょう。シンガポールやタイはまもなく人口ボーナス期が終わり高齢化が始まります。
ベトナム、インドネシア、マレーシアはしばらく人口ボーナス期が続きますが、2041年から2050年にかけて人口ボーナス期が終わります。
東南アジアで今後も長く人口ボーナス期がつづくのは、ミャンマーとフィリピンです。特にフィリピンの人口ボーナス期の終了は、2062年と東南アジアでもっとも遅いです。
国名 | 人口ボーナス期 終了年 |
シンガポール | 2028 |
タイ | 2031 |
ベトナム | 2041 |
インドネシア | 2044 |
マレーシア | 2050 |
ミャンマー | 2053 |
フィリピン | 2062 |
非常に高いGDP成長率
近年のフィリピンは東南アジアでも特に経済成長率が高いです。
2015~2019年で平均7.3%/年の経済成長を遂げています。
コロナ禍の影響はどうですか?
2020年は新型コロナウィルス感染症の影響で
実質GDPで前年比マイナス9.5%と厳しい結果でした。
近年は安定した経済成長を達成
フィリピンの実質経済成長率の推移を見てみると、フィリピン経済の浮き沈みの激しさが分かります。下の図はフィリピンの実質経済成長率をを見れば、1980年代や90年代にも、人口増加とは裏腹に経済が伸び悩んでいます。原因は、投資を呼び込むための政府の主導力不足や政情不安です(#4)。
しかしその後は、アジア通貨危機やリーマンショックの影響を受けつつも、近年はおおむね順調に経済成長を遂げています。とくに2016 年以降は、ドゥテルテ政権による投資環境の整備や汚職の追放によって、安定した経済成長が期待できる環境が整いつつあります。
近年のフィリピンにおける投資環境の改善を踏まえて、上のグラフでは2016年以降の経済成長は7%前後と予測されています。そして実際にフィリピンの名目GDPは、2015年から2019年まで平均で7.3%と非常に高い成長率を示しました。
名目GDPの推移でも、フィリピンの目覚ましい成長は明らかです。
経済規模はASEANで3番目に大きい
2020年の名目GDPは3615億ドルでASEANでは3番目の規模(シェア:12%)になります。とはいえ2019年時点で一人当たりGDPは3300ドルであり、いまだ低位中所得国となります。
名目GDP (億ドル) | ASEAN内 構成比(%) | |
インドネシア | 10,584 | 35.3 |
タイ | 5,018 | 16.7 |
フィリピン | 3,615 | 12.0 |
シンガポール | 3,400 | 11.3 |
マレーシア | 3,367 | 11.2 |
ベトナム | 2,712 | 9.0 |
コロナ禍で甚大な悪影響を被った
フィリピンは、新型コロナウィルス感染症で多数の感染者を出しました。2020年末時点での累積感染者は47万4,064人にもなります。フィリピンは感染拡大防止の対策として、2020年3月から継続して移動・経済制限を実施しました。こうした制限措置による経済への悪影響は甚大で、2020年の経済成長率は、統計開始以降最低のマイナス9.5%を記録しています(#5)。
主要産業
フィリピンの主要産業はサービス業です。
サービス業です・・か?
英語力を生かしたビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)事業が盛んです。
BPO事業ってどんなのですか?
コールセンター業務とか、時差を活かした防犯カメラ監視業務とかですね。
他に注目している産業はありますか?
個人的には銅産業に注目しています。
ビジネス・プロセス・アウトソーシング (BPO)事業
フィリピンはアメリカの植民地であった関係で、英語を扱える人が数多くいます。これを活かして、 ビジネス・プロセス・アウトソーシング (BPO)事業 が盛んです。
具体的にはコールセンター業務や 時差を活かした防犯カメラ監監視業務などの形でサービスの輸出を行っています(#1)。
工業製品の主力は半導体だが、競争力は劣る
フィリピンの輸出品では通関ベースで輸出品全体の約40%を電子・電子機器が占めています。電子・電子機器の約60%は半導体が占めています(#2)。しかしマレーシアやベトナムに比べ半導体産業の規模や競争力は劣ります(#3)。
銅産業の成長に要注目
フィリピンにおける銅の輸出は、通関ベースで輸出品全体の3%にも満たないものです。しかしフィリピンの銅埋蔵量は世界で4番目に多いです(#2)。しかも今後は電気自動車の生産などによる世界的な銅需要の増加が見込まれています。そのため、フィリピン政府も銅産業の育成に力を入れる方針を示しています(#2)。
主要言語
フィリピン人の約7割は英語を話せます。
アメリカ相手のビジネスに有利ですね。
それだけじゃないです
英語を学びたい人向けのビジネスもあります。
英会話の先生ですね。
フィリピンの主要言語はタガログ語と英語です。英語力を生かしてアメリカなど海外で働く人が多く、その数は人口の1割程度にもなります(#1)。
また、海外で働かずとも、英語を活かしたビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)事業が盛んです。また、リゾート地に英会話学校などを展開してビジネスとしています。
通貨
通貨の変動リスクは、途上国投資では避けて通れません。
通貨の下落は困りますね。
ペソの場合、2013年の高値を基準にすれば、
最大で25%程下落しています。
外国への投資、とくに新興国投資においては為替リスクは非常に厄介な問題です。近年では2013年から2018年にかけてペソ安・ドル高が進行しました。2013年最高値からでは約25%の大幅下落です。その後ペソ高トレンドに入ったかに思われましたが、新型コロナウィルス感染症の感染状況などもあり2021年はペソ安が進行しています。
地理
島国で地震・火山が多い
フィリピンに限らず、東南アジアの島嶼部諸国には、地震災害・火山災害のリスクがあります。
まあ、その点は日本も他人ごとではないですね。
フィリピンは7000以上の島からなる島嶼国であり、およそ50の火山がある火山国でもあります。フィリピン海プレートの縁に位置するため、地震も多い地域です。
海上交通にくらべ陸上交通の整備は遅れている
交通インフラ整備は遅れています。
例外は海上交通です。
島嶼国であるため海運による物流は盛んで、多くの港湾が整備されています。首都マニラのマニラ国際コンテナターミナルなどは、年間コンテナ取扱量が5,315,500TEUで世界で29番目(*東京で39位)の規模を誇ります。一方で道路網や鉄道については整備が十分ではありません。首都マニラ周辺での渋滞など様々な問題を抱えています。
電気料金が高く、電力も不足
フィリピンは停電が多く、電気代も高いです。
対策はないんですか?
原発整備が議論されています。
フィリピンの出す結論に注目しましょう。
インフラ面でフィリピンの経済成長を妨げる一つの要因が、電気料金の高さです。フィリピンには原子力発電所がなく、電力の大半を化石燃料に頼っています。さらに電力供給への政府からの補助金などが整備されていないため、電気代が非常に高いという問題があります。2015年時点の産業用電気料金はタイやシンガポールと同レベルで、インドネシアの約3.5倍にもなります。
フィリピンでは慢性的な電力不足が問題となっており、2021年になっても停電が頻発しています。今後の経済成長に伴って電力需要がますます増大すると予想されるため、原子力発電所の導入までもが議論されています。
戦略的には有利な立地
東南アジア全体におおむね共通することですが、フィリピンは世界の主要地域とのアクセスが良好です。フィリピンはアジアの中心に位置しており戦略的に有利な位置にあるといえます。さらに太平洋と南シナ海という二つの大きな海路に接しており、太平洋側からみれば東南アジアの玄関口となります。
こうした立地を意識して、 フィリピン政府は「ポケットオープンスカイズ政策」や「CCT法」といった政策を実施しています。これによって、海外航空会社にニノイ・アキノ空港以外への無制限の乗り入れ権を認め、国際航空会社がフィリピンを主要ルートに加えることを促進しています(#8)。
大らかな国民性、70%が英語を解する
フィリピンの識字率は94%で、国民の70%が英語を話すことができます。フィリピンには優れた教育を受けた、バイリンガルかつ技術を持った人材が豊富です(#8)。国民性は、一般的に大らかな性格の人が多く、明るく、素直なことが特徴です。しかし大らかさが仇になることもあるので、雇用者側からみれば、細かなルール設定や、きめ細かなマネジメントが必要な一面もあります。
最後までお疲れさまでした。
次の記事(フィリピン② メリット・デメリット:準備中)にご期待ください。
他の国も取り上げていますので興味のある方はどうぞ。
インドネシア 基本情報編
ベトナム 基本情報編
マレーシア 基本情報編
#1 サクッとわかるビジネス教養 東南アジア (助川成也 監修、新星出版社)
#2 世界貿易投資動向シリーズ フィリピン(日本貿易振興機構 海外調査部・マニラ事務所 2021年9月30日)
#3 ASEAN:コロナ禍に輸出競争力のある国は?(大和総研 経済調査部 エコノミスト 増川 智咲, 2021 年 7 月 8 日)
#4 フィリピンの投資環境(国際協力銀行 2018年8月)
#5 コロナ禍がフィリピン経済に与えた影響と今後の展望(JETRO 地域分析レポート 2021年2月16日)
#6 世界:人口ボーナス期で見る有望市場は(椎野幸平、ジェトロセンサー、2015年3月号)
#7 フィリピンで再浮上する原発計画 かつて東南アジア初でほぼ完成も稼働前に頓挫(東京新聞 2021年3月15日 17時00分)
#8 フィリピンの投資環境と強み (在大阪フィリピン総領事館 商務部 環日本海経済ジャーナル No.94 2015.3)
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