ドル円相場の行方、注目すべき相場反転の契機とは

資産運用
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概要

2022年に円安・ドル高が進んだ要因には、日米金利差拡大、日本の貿易赤字拡大投機筋による円売りなどがあります。

専門家は年末までに1ドル=140円台まで円安が進行する可能性を想定しています。一方で円相場が反転し、1ドル=110円台となる可能性も考慮しています。

円相場が反転するきっかけとしては、米国の景気後退日銀の金融政策修正インバウンド貿易赤字の縮小などの情報に注目する必要がありそうです。

円安ドル高が進んだ要因

ドル円相場は6月27日週には1ドル=137円と約24年ぶりの円安・ドル高となりました。

円安ドル高の要因は、主に3つです

  • 米金利の上昇
  • 日本の貿易赤字拡大
  • 投機筋による円売り

米金利の上昇

米連邦準備制度理事会(FRB)は2023年初頭にかけ3%台半ばまで利上げ続ける見込みです。それに対して日銀は低金利維持が予想されています。(#1)

日米の金利差が拡大するため、ドル高・円安トレンドの要因となっています。

とは言え、2022年6月下旬には米長期金利の上昇が一服しています。にもかかわらず円安・ドル高になかなか歯止めがかかっていません。それには日本の貿易赤字拡大という要因があります。(#4)

日本の貿易赤字拡大

日本はエネルギー・資源を海外からの輸入に頼っているため、資源価格の高騰で輸入金額が膨らんでしまいます。(#1)

ですから、いったん円高方向に転じても輸入急増に伴う企業の円売りが壁になり、円高に勢いがつきません。

つまり相場が円高方向に振れると、少しでも低コストでドルを調達したい輸入企業がすぐに円売り・ドル買い注文を出し、円高に歯止めがかかるのです(#4)。

とはいえ、こうした輸入企業による実需による円売りも一段落したようです。足元では投機筋による円売りが中心となっています(#5)。

投機筋による円売り

日本企業の実需による円売り・ドル買いが一段落したと判断する理由は、円安の進む時間帯です。つまり、夜に円安が進行するようになっていることです(#5)。

具体的には5月24日から6月27日にかけて、東京市場では51銭の円高・ドル安、海外市場では7円99銭の円安ドル高となっています(#5)。

投機筋の円売り持ち高が積み上がれば積み上がる程、巻き戻しも急激になるため(#5)注意が必要です。

ドル円相場の展望

今後のドル円相場の展望については、年末に1ドル140円台と予想する専門家が複数います。

三菱UFJ国際投信チーフエコノミストの荒武秀至氏は、年末ごろに1ドル140円台でピークを迎えると予測しています。しかし、日米インフレ率格差から試算される適正ドル・円相場は1ドル=91円であるため、一気に1ドル=115円程度まで円が急騰するボラティリティーの高い相場展開もあり得るとしています。(#1)

みずほ銀行チーフマーケットエコノミストの唐鎌大輔氏も、年末に1ドル=140円まで円安が進むことを想定しています。(#2)

野村総合研究所の木内登英氏は、年内に1ドル=140円まで円安が進むと予測しています。一方で
米国の景気が弱くなり利下げ期待が出てくる状況になれば、110円程度の円高の可能性がある(#3)ともしています。

どうやら、1ドル=110円台まで円相場が反転する可能性は考えたほうがよさそうです。では、円相場が反転する「きっかけ」は何でしょうか?

円相場反転のきっかけ

ドル円相場が反転する「きっかけ」として特に注目したいのは以下の4つです。

  • 米国の景気後退リスクの高まり
  • 日銀の金融政策修正
  • インバウンド
  • 日本の貿易赤字に歯止めがかかる

米国の景気後退リスクの高まり

円安ドル高の要因の一つは日米の金利差です。ですから金利差の拡大が止まれば円相場が反転する契機となります。

米国の景気後退が明らかとなれば、FRBは金利引き上げを続けることが難しくなります。例えば来年初頭にFRBが利上げを打ちとめた場合(#1)などは、米国での利下げ期待が高まり、円が高騰する可能性があります。

米国の経済指標には十分に注意を払う必要があります。

日銀の金融政策修正

日本銀行

円安ドル高の要因の一つは日米の金利差です。ですから金利差の拡大が止まれば円相場が反転する契機となります。

日銀は金融緩和姿勢を堅持しています。しかし、金融引き締めに方針転換すれば、日本の金利が上昇し、円が高騰する可能性があります。

そのため、日銀の次期総裁など執行部人事には注目(#1)せざるを得ません。

インバウンド

円相場を反転させる可能性のある要因には、インバウンドもあります。外国人観光客が再び増加すれば、円買い・ドル売りの需要が発生するからです。

ですから外国人に対する入国規制の動向に注意する必要があります。

外国人に対する入国規制の緩和が進めば、円高ドル安に転じるかもしれません。インバウンド推進派が7月の参院選でどの程度勢力を拡大するのか注目です。

日本の貿易赤字に歯止めがかかる

円安ドル高のもう一つの要因は、日本の貿易赤字です。つまりエネルギー・資源の輸入です。決済はドル建てで行われるため、輸入企業による円売り・ドル買いが行われます。

ここでは、貿易赤字に歯止めがかかる「きっかけ」として2つ挙げておきます

  • 原発再稼働
  • 原油高が一巡

原発再稼働

原油高で貿易赤字が大きくなるのは、日本が火力発電に大きく依存しているからです。もし仮に、原発が再稼働するような状況になれば、原油・天然ガスの需要が減り貿易赤字が縮小します。

原発再稼働に積極的な政党が7月の参院選で大勝利を得れば、状況が大きく変わる可能性があります。
選挙後も、原発再稼働に関する議論には注意を払いましょう。

原油高が一巡

資源高、とくに原油高は日本の貿易赤字が拡大する大きな要因となっています。もし原油高が一段落すれば、貿易赤字は縮小します(#1)。

原油高が一段落する要因としては、以下の3つを挙げておきます。

  • 中東等での原油増産
  • ウクライナ問題の早期解決
  • 景気後退
中東等での原油増産

原油が増産されれば、原油価格は低下します。単純な理屈です。しかし増産は簡単ではないです

しかし、増産する余力のある中東産油国はサウジアラビア位です。物価高に悩む米国はサウジアラビアに原油増産を要請しています。しかしバイデン政権と関係の良くないサウジアラビアの動向は不透明です。(#6)

一方、中東には他にも有力な産油国があります。イランです。イランは核開発に関連して、経済制裁を受けており原油輸出が殆どできない状態です。もしイランと欧米でなんらかの和解が成立すればイランの原油が市場にでてきます。すると原油価格は下落するでしょう。

しかしサウジアラビアとイランは対立関係もあるので、米国がイランと接近するとサウジアラビアは態度を硬化させるかもしれません。

ウクライナ問題の早期解決

ロシアが欧米と和解する形でウクライナ問題が早期解決すれば、原油・天然ガスの価格は下落・安定するでしょう。

景気後退

景気が冷え込めば、原油需要が減り、原油価格が低下します。実際に景気が後退しなくても、そのリスクを意識した時点で原油価格が下がるかもしれません。

この記事は、特定の投資行動を推奨するものではありません。投資はあくまでも自己責任でお願いします。

<参考文献>

#1 荒武 秀至 「際限ない円安は国力低下の表れか FRB利上げ停止で急激な円高も」 週刊エコノミスト 2022/7/5 p20-21

#2 唐鎌 大輔 「1ドル=140円の円安も」週刊エコノミスト 2022/7/5 p32

#3 梅田 啓祐、 斎藤 信世 「危うい『利上げ競争』 強いドルが招く危機」 2022/7/5 p14-16 

#4 小栗太 「円高反転阻む貿易赤字」 日経新聞 2022/6/29

#5 「海外勢が主導 夜に進む円安」 日経新聞 2022/6/29

#6 岐部秀光 「米とサウジ『盟約』限界に」 日経新聞 2022/7/6

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