概要
マレーシア国債の格付けはA- (リスクは低い)です。2018年頃まで利回り(10年物)は4%前後で推移していましたが、2019年から低下し、その後にやや回復しています。2021年9月初めの利回り(10年物)はは3.3%程度です。
ベトナム国債と異なり、利回りと債券価格は逆相関を示しています。しかし、2020年のコロナショック時については、金利低下ほどに債券価格は上昇しませんでした。これには、リスクオフ時の安全資産への資金移動の影響があると考えています。つまり新興国→先進国、株式→債券→現金・金といった資金移動です。
いずれにせよ、今後コロナ禍が収束に向かえば債券利回りは上昇する可能性が高いです。そうなれば債券価格は下落する訳です。ですから、わたしはマレーシア債券をしばらく購入しないことにします。もそ、どうしてもマレーシア国債を購入するなら、途中で売却せず満期まで保有することになるでしょう。
概要で満足な方はお疲れ様です。
気に入った方は本文もぜひ読んでください。
マレーシアについての関連記事はこちらをどうぞ
マレーシア① 基本情報編
マレーシア② メリット・デメリット編
マレーシア③ 株式編
マレーシア国債の格付け
マレーシア国債の格付けはA-です。リスクは低いと言ってよいでしょう。
まずマレーシア国債の格付けを確認しましょう。S&Pによる国家信用格付けでは、マレーシアの格付けはA-です。Aは「信用力は高く、部分的に優れた要素がある。」を意味しており、格付けは比較的高いグループです。
ちなみにアメリカ国債はAA+(信用リスクは極めて低い)、日本国債はA+(信用リスクは低い)、インドネシアBBB(信用リスクは中程度)です。マレーシア国債(A-)と日本国債(A+)の信用リスクは同程度ですが、相対的にマレーシア国債がやや劣るという評価になります。
格付け | 信用リスク | |
アメリカ | AA+ | 極めて低い |
日本 | A+ | 低い |
マレーシア | A- | 低い |
インドネシア | BBB | 中程度 |
ベトナム | BB | 相応に高い |
S&Pによる格付け(2021年8月10日時点)
マレーシア国債の利回りは2020年が底か?
新興国だったら、利回りはやっぱり高いんですよね?
まあそうですね。
ですが、インドネシアなどには及びません。
なあんだ・・・
で、具体的にどれくらいですか。
利回り(10年物)が一時2%台前半に落ち込みましたが、
2021年9月には3.3%まで上昇しています。
うーん・・・微妙なかんじですね。
まあ、リスクと利回りのバランスはとれています。
ただ、今後も利回りが上昇するなら、価格は下落しますので注意しましょう。
つぎに国債の利回りを確認しましょう。下のグラフは10年物のマレーシア国債の利回りのチャートです。2002年から2018年にかけてマレーシア国債(10年)の利回りは、4%前後で推移している状況が続いていました。
しかし2019年頃から利回りは低下し、2020年には2.5%を下回るほどでした。2020年の金利低下は、コロナショック対応で各国の金利が低下した影響も大きそうです。
そして現在の利回りを見てみましょう。2021年になってからは利回りが3.3%前後とやや回復しています。2021年9月初め時点では約3.35%になります。
今後のことを予測するのは難しいですが、もし新型コロナウィルス感染症の悪影響がなくなれば、経済の回復に伴って利回りはさらに上昇するでしょう。
マレーシア国債の価格は、利回りと強めの逆相関を示す
マレーシア国債は、利回りと価格の逆相関が見られます。
利回り低下時は価格上昇ですね。
ベトナム国債よりは、価格変動が理解しやすいですね。
新興国の債券は、コロナショック時の価格上昇が、やや弱かったです。
リスクオフ時は、より安全性の高い資産に資金が移動するからでしょう。
ベトナム国債は利回りと価格の変動があまり連動しておらず、予測が難しい印象でした。それではマレーシア国債はどうでしょうか?
2016年6月以降のマレーシア国債(10年物)の利回りと価格の推移を見てみると、利回りと価格は比較的綺麗な逆相関を示しています。ただし、利回りの低下ほどには、価格は上昇していないようです。
利回りが低下するような状況では、多少なりとも経済的な先行きが不透明になっています。そういう世界情勢であれば、より安全なポジションへ資金が移動すると思われます。つまり新興国から先進国へ、債券から現金や金へ、という資金の移動があった分だけマレーシア国債の価格上昇は(利回り低下と比べて)抑えられたと考えます。
今、マレーシア国債を購入するなら満期まで保有する、のだが・・
結局、マレーシア国債はしばらく買わないことにしました。
どうしてですか?
どうせなら利回りが上昇して(価格が低下して)から買うほうが良いです。
いますぐ買う、としたらどうします?
うーん・・・
満期まで保有することにします。
マレーシアは、先進国ではないですが、ゴリゴリの途上国でもないため、政治的・経済的な安定性があります。よく言えば成長性と安定性のバランスがとれているとも言えます。悪く言えば成長性も安定性も中途半端とも言えます。
GDP成長率はベトナムやインドネシアには劣り、金利もインドネシアに劣ります。投資としての方向性も、安定性を重視するのかリスクをとってリターンを狙うのか方向性が不明瞭になる気がします。
新興国投資に興味はあるけど、大博打はしたくない。そんな人に向いているのではないでしょうか。
マレーシア経済に関しては、数年単位で見れば、新型コロナウィルス感染症の影響から回復するでしょう。そうすれば国債利回りは上昇する可能性が高いです。2-3年程度かけて再び4%前後の利回りになる可能性は十分あると考えています。つまり国債の売買価格でいえば、今後数年で下落することになります。
もしマレーシア国債に手を出すなら、利回りが上昇してからで良い気がします。どうしても2021年にマレーシア国債を購入するのであれば、わたしなら新規発行であれ既発債であれ満期まで保有することにします。
ですがわたしはマレーシア国債への投資は当面行わないことにしました。SBI証券や楽天証券で扱っていないのが最大の理由です。わざわざ新たな講座を開設してまで マレーシア国債に直接投資する気にはなりませんでした。(それでも、わたしは新興国債券ETFの形で間接的にはマレーシアに投資しています。)
この記事はあくまでも個人的見解を述べています。投資はあくまでも自己責任でお願いします。
最後までお疲れさまでした。
マレーシアについての関連記事はこちらをどうぞ
マレーシア① 基本情報編
マレーシア② メリット・デメリット編
マレーシア③ 株式編
コメント